南天龍宮城(15)


【高速道路】

 田舎のバスはガタガタ道を…と小さい頃に歌っていた気がするが、現在の日本の道路はほとんどがアスファルトで覆われており、モグラや蛇類にとっては不便なこと極まりない。ナグプールからマンセル間はまだまだ未舗装の処も少なからずあったが、道路拡張工事はドンドンと進展中であった。マンセルまでは東進ぎみであったが、そこから北上、デリーに向けての高速道が計画されている。遅々としたものではあるが、やがてはその姿を顕わしてくる。
 インド市街での雑踏には錯綜する車と人、それに二輪車類の往来が左右斜めに進路の軌跡を描いている所にあるのだが、ARYA NAGARJUNの名前をフロントに描き、五色の仏旗をはためかして行く秀嶺師の専用車はクーラが効いているから良い。周りには七、八人また十人も詰め込んだ小型車が走っている。その間を黒赤黄色の服を引っかけた人たちがゾロゾロと歩いている。家の前にはイスを出して多くの人がたかっている。警笛(クラクション)は絶え間なく鳴り響いている。小生滞在中にはさしたる事故に遭遇しなかったが、蛇行運転の上手なインド人でも交通事故は日常茶飯事のことらしい。




 面白いことには、道が街路に入ると数本の盛り付けをしたところが用意してあることだ。そのデコボコでもってスピードを出せないようにしているのである。スピード禁止の看板より確かな規制力である。転倒を防ぐ為には、どうしてもスピードダウンせざるを得ないのである。




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