御室本山・仁和寺参詣の記念品(刷り物)のこと
善通寺紀要 第19号より



 その3


 次にAの裏面。こちらには右上角から順に(時計の逆、左回りに)、一番から、本四国札所の御詠歌が紹介してある。(参考までにBの裏面及び貞亨四年刊『道指南』の詠歌を並記)


【御詠歌】

A・四国地図


※『道指南』貞亨四年一六八七

一・山寺
本ぞん志やか
 連うぜんの志やかの*まへ尓   
 免ぐ里きて
 よろ川のつミもきえ
 うせに介り
ごくらくへ十丁

一番・霊山寺
本尊釋迦如来
連やうぜんの志やか能
 ミまへ尓めぐりきて 
よろづの徒ミも
 きえうせ尓介り

壱番霊山寺
 山農志やか能ミまへ尓免くりきて
 萬の徒美もきえう世尓介り
これより極楽寺まて十町

二・極樂寺
本ぞん阿ミた
 ごくらくのミだの志ようどへ
 ゆ記たくバ
 なむあミだぶつくち
 くせに世よ
こんせんへ二十五丁

二・極樂寺
本尊阿弥陀如来
ごくらくのみた能
 志やうどへゆ記たくハ
なむあみだふつ
 くちくせ尓せよ

二〃極楽寺
 ごくらくのミたの浄土へゆき度ハ
 南無阿ミ陀仏口癖尓世与
金泉寺まて廿五町

三・金泉寺
本ぞん志やか
 ごくらくのたからのいけを
 於もへ多ヾ
 こがね乃いづミ春ミ
 堂ヽへぬる
くろだにへ一り

三・金泉寺
本尊釋迦如来
ごくらくのたから能
 いけをおもへたヾ
古が年のいづミ
 すみたヽへぬる

三〃金泉寺
 極楽農たからの池をおもへ堂ヽ
 こか年の泉すミ堂ヽえた流
黒谷まて一里

四・黒谷寺
本ぞん大にち
 ながむ連ハ月志ろたへの
 よハな連や
 多ヾくろだにヽ春ミ
 ぞ免の袖
ぢぞうへ一り

四・黒谷寺
本尊大日如来
ながむ連ハ月
 白たへのよハなれや
たヽくろだ尓ヽ
 すミぞめのそで

四〃大日寺
 なかむれハ月白妙の夜半なれや
 たヽく路た尓ヽ春ミ染の袖
地蔵寺まて十八町

五・地蔵寺
本ぞんちぞう
 六道のヽうけのぢぞう
 大ぼさつ
 ミちび記多まへこの世
 後の世
あんらくへ一り

五・地蔵寺
本尊地蔵菩薩
六道の乃うけ能
 ぢざう大ぼさつ
ミちひきたまへ
 このよのち能よ


詠歌5番

五〃地蔵寺
 六道農能化の地蔵大本さつ
 導堂万へ此よ後の世
あん羅くじまて一里

六・安楽寺
本ぞんやくし
 かりの世○知行あ○○ふ
 むやくなり
 あんらくこくの志ゆごを
 のぞめよ
十らくへ十丁

六・安楽寺
本尊薬師如来
かりのよ尓知行
 あらそふむやく也
あんらくこくの
 志ゆごをのぞめよ

六〃安樂寺
 かりの世尓知行争ふむやくなり
 あんらく国の志ゆご越のぞめよ
十らく寺まて拾丁

七・十楽寺
本ぞん阿ミだ
 にんげんの八くを者やく
 者な連なバ
 いたらんかたハ九本ん
 十らく
く満だにへ一り

七・十楽寺
本尊阿弥陀如来
尓ん介んの八くを
 者やく者なれなバ
いたらんかたハ
九本ん十らく

七〃十樂寺
 人間の八苦を者やく者那連奈バ
 いたらんかたハ九品十羅く
く満だ尓まて壱里

八・熊谷寺
本ぞん千志ゆ
 た記木とり水く満だにの
 寺にきて
 なんぎやう春るも後の
 世のため
本う里んへ十八丁

八・熊谷寺
本尊千手観音
たき木とりミづくま
た尓のてら尓きて
なんきやうするも
 のち能世のため

八番熊谷寺
 薪とり水くま谷の寺尓きて
 難行春るも後の世農ため
者う里んじまて十八町

九・法輪寺
本ぞん志やか
 大じやうのひ本うもとかも
 ひるがへし
 てん本う里んのゑんと
 こそきけ
きり者たへ二十五丁

九・法輪寺
本尊釋迦如来
大じやうのひ本うも
 とがもひるかへし
てん本う里んの
 ゑんとこそきけ

九〃法輪寺
 大乗のひ者うもとかもひるがへし
 転法輪のゑんとこそきけ
きり者たまて廿五町

十・切幡寺
本ぞん千志ゆ
 よく志んをたヾ一すぢ尓
 きり者たじ
 後の世までのさハり
 とぞなる
ふぢゐへ一り半

十・切幡寺
本尊千手観音
よく志んをたヾ一
 すぢ尓きりハたじ
のち能世まで乃
 さハりとぞなる

十切幡寺
 よく志んをたヽ一春ち尓切幡寺
 のち農よまての障とそ那累
藤井寺まて一里半

十一・藤井寺
本ぞんやくし
 いろもかもむひ中だうの
 ふぢいでら
 志んによのなミのたヽぬ
 ひもなし
志やうさんへ三り

十一・藤井寺
本尊薬師如来
いろもかもむひ中
 だうのふじゐでら
志ん尓よ能なミの
たヽぬひもなし

十壱〃藤井寺
 色もかも無比中道の藤井寺
 志ん尓よの波のたヽぬ日もなし
志やうさんじまて三里

十二・焼山寺
本ぞんこくうぞう
 後の世を思へバくぎやう
 志やうさんじ
 しでやさんづのなん所
 ありとも
一のミやへ五り

十二・焼山寺
本尊虚空蔵菩薩
のち能世をおもへバ
 くぎやう志やうさんじ
志でやさんづの
 なん志よ阿りとも

十二〃焼山寺
 後のよ越おもへハ恭敬志やうさんじ
 志てや三途のなん志よ有れ者
一の宮まて五里

十三・一の宮寺
本ぞん十一めん
 阿王の国いちの宮とハ
 ゆふだ春記
 かけてたの免や此世
 後の世
志やうらくへ十五丁

十三・一の宮寺
本尊十一面観音
のく尓いちの
 ミやとハいふだす記
かけてたのめや
 この世乃ち能世

十三〃一宮寺
 あ者の国一の宮とハゆふたすき
 かけてたのめや古農よ後世
常楽寺まて十五町

十四・常楽寺
本ぞんミろく
 志やうらくのきしにハいつか
 いたらまし
 ぐぜひのふね耳のり
 於く連ずハ
こくぶんへ八丁

十四・常楽寺
本尊弥勒菩薩
志やうらくのきし
 尓ハいつかいたらまし
ぐぜひのふね尓
 のりおくれすバ

十四〃常樂寺
 常楽のきし尓盤いつかいたらまし
 ぐぜいのふ年尓のりおくれ春ハ
国分寺へ八町

十五・国分寺
本ぞんやくし
 う須くこくワけ/\いろを
 そ免ぬ連バ
 るてん志やうじの秋の
 もミぢ葉
く王んをんへ十八丁

十五・國分寺
本尊薬師如来
うすくこく王け/\
 いろをそめぬ連バ
るてん志やうじの
 あきのもみぢバ

十五〃國分寺
 うすく古く王け/\色をそめぬれバ
 流てん志やうじの秋のもミぢ者
くハんおんじ迄十八町

十六・観音寺
本ぞん千志ゆ
 ワ須連春もミちび記・へ
 く王んをんじ
 さい本うせかいミだの
 志やうどへ
いどへ十八丁

十六・観音寺
本尊千手観音
王す連すもミちびき 
 たまへくハんおんし
さい本うせかい
 ミだの志やうどへ

十六〃觀音寺
 王須連春も道引給へ觀音じ
 西方世界ミたの浄土へ
いど寺まて十八丁

十七・井土寺
本ぞんやくし
 於もかげをうつしてミ連バ
 いどの水
 む春べバむねのあかや
 をちなん
をんざんへ五り

十七・井土寺     
本尊薬師如来     
おもかけをうつして  
 見連バいどのミづ  
むすべハむ年の    
 あかやおちなん

十七〃井土寺
 おもかけのうつして見れハいどの水
 む春べハむ年のあかやをち那ん
おんざんじへ五里

十八・恩山寺
本ぞんやくし
 子をうめる其ちヽ者ヽの
 於んざんじ
 とふらひがた記ことハ
 あらじな
たち江へ一り

十八・恩山寺     
本尊薬師如来     
子をうめる其ちヽ   
はヽのをんさんじ  
とふらひがたき    
 ことハあらじな 

十八番恩山寺
 子をうめる其父母の恩山寺
 とふらひかたき事ハあらし那
立江寺壱里

十九・立江寺
本ぞんぢぞう
 いつかさて西の春満ゐの
 王がたちへ
 ぐぜひのふね尓のりて
 いたらん
徒るへ三り

十九・立江寺 
尊地蔵菩薩 
いつかさて尓しの 
 すまゐの王がたちへ 
ぐせひ能ふ年尓
 のりていたらん 

十九〃立江寺
 い徒かさて西の春まひの我たちへ
 ぐぜいのふ年尓のりていたらん
林寺まて三里

二十・林寺
本ぞんぢぞう
 志介りつる徒るの者やしを
 しるべにて
 大しぞいま須ぢぞう
 たいしやく
大里うへ一り半

二十・鶴林寺 
本尊地蔵菩薩 
志介りつる徒るの 
 者やしを志るべ尓て 
大しぞいます 
 ぢざうたいしやく

廿〃林寺
 志介り徒るの林を志るべ尓て
 大師そいま須地蔵帝釋
大龍寺まて一里半

二十一・大龍寺
本ぞんこくうぞう
 大里うのつねに春むぞや
 介にい王屋
 志やしんもんぢハ志ゆごの
 ためなり
びやうどうへ二り

二十一・大龍寺
本尊虚空蔵菩薩
大里うのつ年尓
すむぞや介尓いはや
志やしんもんぢハ
 志ゆごのためなり

二十一〃大龍寺
 大龍の徒年尓住ぞや介尓岩屋
 志しん文珠の守護のため那里
平等寺まて二里三拾丁本と

二十二・平等寺
本ぞんやくし
 びやうどうに遍だてのな記と
 きくと記ハ
 あらたのもしき本とけ
 とぞ見る
やく王うへ七り

二十二・平等寺
本尊薬師如来
びやうどう尓へだての
 なきときくと記ハ
あらたのもしき
 本とけとぞ見る

二十二者ん平等寺
 平等尓遍だてのなきときく時ハ
 あらたのもしき仏とそ見累
薬王寺迄七里

二十三・薬王寺
 本ぞんやくし
 ミな人のやミぬる年の
 やく王うじ
 るりのく春りをあたへ
 まし満せ
ひがし寺へ二十一り

二十三・薬王寺
本尊薬師如来
ミな人のやミぬる
 年のやく王うじ
るり能くすりを
 あたへましませ

廿三〃薬王寺
 ミ那人のやミぬるとしの薬王じ
 流里のくすりをあたえ満しませ
土佐ひがし寺迄廿一里





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