異域地巡礼の納札研究
善通寺紀要 第18号より



 一、是までの拙稿について


 小生が納札研究に関わり駄文をものしだしたのは、『同行新聞』(※4)第140号、昭和五十七年のことである。それからしばらくは昭和六十一年第300号迄十数篇あれやこれやと模索しつつ小文を重ねていた。同時期新居浜『郷土史談』誌(※5)には郷土研究的視点を考慮しつつ書いたものがある。

 その後『同行新聞』の停滞休刊にともない、単独誌『四国辺路研究』(※6)を始め、その第二号で広く「辺路札について」述べた。それまでの調査四国内三ヶ所(愛媛県今治市、新居浜市、高知県大月町)で発見された、いづれも俵札所蔵の札類で総計一万五千枚強を対象としたものである。

 次にまた「辺路札について(南予一本松 蕨岡家の俵札)」については第六号。さらに第十号「辺路札続稿」。香川県大川郡志度町、瀬尾家蔵。第十二号「辺路札四」。第十四号「俵札特集《徳島県・安丸家の場合》。その後も十八号、二十六号と連ねている。詳細に立ちいることは出来ないので簡単に拙稿目録を。事柄によっては再説することになる。



 ○拙稿目次


『同行新聞』「納め札は語る」 昭和57年、同行新聞第140号より

その一
その二
その三







十一
十二
十三
十四
十五
十六
十七

 愛媛県越智郡大西町の善根宿の俵札 屋根裏にあった
 千人宿に残された…国別九百二十七枚
 文化八年摂州西成郡大坂住佐…
 文化十年代の札
 宝号と名号 大坂住人つぎ…
 代参 下野国河内郡宇津の宮宿 吉五郎(九枚)
 奉納府中七ヶ所同行弐人
 出羽国亮範 白藤大師堂 邊路六部札供養碑
 六十六部 越中州産、嘉七  覚心位牌
 覚心名号碑  武州川越行者学心利剣名号札
 徳本上人流名号札 武州江戸願主マツ
 千社札様宝号札 東京市…粟野山三郎同行三人
 播州三木末広講札  摂州有馬郡鉄五郎
 印刷応需宣伝札 豊後別府温泉場熊埜御堂印刷部
 御参詣日御茶湯日札  同石碑(大窪寺)
 名号札 願極楽上品上生往生念仏行者浄境法子
 摂待札 施主大阪日本橋弐丁目 餅八


第201号
第202号
第206号
第212号
第222号
第224号
第226号
第227号
第230号
第232号
第236号
第247号
第248号
第278号
第296号
第300号
*第300号(昭和六十一年十一月二十一日号)は一と月遅れで発行


『郷土史談』 昭和57年10月25日発行〜

第87号 「庵主小記四」  紙に印刷 元々は木の納札 奉拝禮百八十八番同行三人
第195号 「千足山村石貝と辺路札」  石鎚山北側の小村の夫婦、別の家族三人、堂守、計五枚の札について
第221号 「辺路札余話」  大月町(土佐幡多郡)の多量の札 一、屋根裏の俵の中に… 二、郡別枚数 三、四国各県別の枚数 四、大洲藩の家紋を冠した辺路札 五、月山参詣 六、その他の人々


『四国辺路研究』一九九三年(平成五年)


2号表紙

第二号

辺路札について 
T概史 はじめに・札の歴史・納札と納経・真念時代の納札信仰・納札奇話
U辺路札管見 辺路札の種々相・一、札の大小・二、形状・三、色札・四、詞書・五、札の意匠・六、辺路札に現われた弘法大師・七、講中札・八、〈施印〉札・九、順拝度数の札・十、代参・十一、尾張國傳講中

第六号

辺路札について(南予一本松、蕨岡家の俵札)
一、《蕨岡家》とは・二、概要・三、県別枚数・四、地方別割合・五、施主札・六、講中札・七、印刷業者の札・八、職業を名乗った札・九、その他・十、第一番奥院札・十一、金札・十二、五弓吉五郎

第十号

第十一号

辺路札続稿・・・香川県大川郡志度町 瀬尾家蔵

西国三十三ヶ所本尊御影札
辺路札余滴・・・居付きヘンロのこと(濃州厚見郡今嶺村 逸同)

第十二号

辺路札四
一、安丸家・二、俵・三、札の状況・四、出身地方別分布・五、阿波国の特殊事情・六、十里十ヶ所 付、 阿波の隔夜碑・七、講札・八、色札・九、施印札・十、大師のお姿 登録商標・付、辺路札人名簿

第十四号

俵札特集《徳島県・安丸家の俵》
T 俵札
屋根裏のタイムカプセル・神社系札一覧表・寺院系札
一覧表
《香川県・吉田家の俵》
U 納経帳─安丸家の三冊―
A、D、三ヶ国辺路概略図、C
V 辺路札五 人名簿(除、四国四県)

第十八号

付説:《色札》のこと―土御門神道の影響―
札はさみ板

第二十六号

千人宿に残された『納め札は語る』〜末広講のこと〜
付、末広講を尋ねて


 これほど書いて来たのにまだまだ物足らないというか、書きたいことが沢山にある。対象は充分にあるのだが、みずからの知識が足らない。いわゆる浅学非才ということだ。大学時代での勉強不足というより、人生における興味、根底的に所与の世界、あいまいな発想能力によるものだ。ところがそうしたことも時と共にあらたな世界が登場して引導(ひっぱり指し示す)の視点が用意されてくる。それが今回の熊野街道善根宿若山家の俵札であった。


※4 創刊号、昭和五十二年八月一日・終刊は第326号、昭和六十二年八月二十一日付。
※5 『郷土史談』第一号、昭和五十年八月二十五日新居浜郷土史談会発行。
第210号より『新居濱史談』(1993.1刊)に。2012.10刊で第388号になる。
※6 『四国辺路研究』1993.3創刊号、不定期刊、単独発行誌。第30号、2010.4.




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