四、助縁者 『道指南』の出版について、真念は貞亨元年(一六八四)が弘法大師御入定八百五十年に当たり、それで「宿願弥芽し」てきたと述べている。そしてこの真念の志に同調し、かつは弘法大師への報恩謝徳の為に大坂西浜町の野口氏(木屋半右衛門)が出版費用を喜捨したのである。 真念は大坂寺島を本居としていたが、その信者であったのだろう。 他の両著にも出版助縁の人々が名を連ねている。四国路の人々は勿論のこと、大坂の人や出羽国の人もいる。 また道標石の施主などには江戸の人もおり、真念の幅広い宗教活動が感じられる。こうした助縁者のうち、四国路の人々は大方善根接待の提供者であり、また自ら大師堂などを建てて遍路の便宜を図っている。真念と共に大師信仰に生きる善人たちであった。 こうした善人たちの所在を『道指南』及びその増補大成本には詳しく記しとどめている。 |