一、はじめに 『今昔物語』の昔より、四国は「辺地」と言われてきた。「海辺ノ廻也」と称されるように、「ころもはいつとなくしほたれて、しこくのへちをそつねにふむ」(『梁塵秘抄』)ともいわれている。 この四国の中でも、地理的にも歴史的にも僻遠の地であり続けた場所に「月山(つきやま)」という霊場がある。 いわゆる八十八ヶ所の札所の数には入っていない(無番札所)のだが、土佐では十六ヶ所の札所にこの月山を加えて、四国札所を十七ヶ所と定めている(『憲章簿』遍路之部)。いわゆる無番(番外の)札所(月山)を、土佐国では札所の数に入れているのは破格の扱いといって良かろう。 この四国辺地の霊場・月山にスポットを当ててみた。瀬戸大橋と真反対の地に足摺岬(土佐清水市)があるが、その西側、大月町に月山神社がある。 月山の御神体の月石 |