インド紀行 英林


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 今回の旅行行程をざっと紹介いたしますと、関西空港からインドの首都デリーへ。ライプールの空港にて佐々井上人にお出迎え頂き、シルプールの遺跡の見学、ドンガルカルの仏教徒大会の参列、ナグプールでのマンセル遺跡や龍樹菩薩大寺、地鎮祭などに加え、チャンバル渓谷という盗賊集団の棲家であるダコイットの村の訪問など、インターネット上にもあまり情報のない旅でした。ではなぜそんな一風変わった旅行内容になったかというと、現地の日本人僧侶・佐々井秀嶺上人に案内をしてもらったからです。正確にいうと彼は元日本人で、現在はインド国籍を持ち、アーリヤ・ナーガルジュナ・佐々井秀嶺としてインド仏教の先頭に立つ帰化日本人僧なのです。

 佐々井秀嶺(本名・実)上人は昭和十年、岡山県新見市生まれ。三十歳でタイに留学し、その後ふらりとインドによった際に夢告を受けました。ある夜、彼の前に大乗仏教八宗の祖と呼ばれる竜樹が現れ「我は竜樹なり。汝速やかに南天竜宮城へ行け。汝の法城は我が法城。我が法城は汝の法城なり。南天鉄塔もまたそこに在り。」と告げられました。

 竜樹とは紀元150〜250年頃のインドの僧で真言宗では龍猛と呼ばれる真言八祖の第一祖です。(真言宗寺院には真言八祖として密教の教義を師資相承した順に龍猛・龍智・金剛智・不空・善無畏・一行・恵果・空海の仏画が掛かっています。)また南天鉄塔とは南インドのどこかに存在するといわれる真言密教の根本教典を蔵している場所のことです。

 佐々井上人はその竜樹の言葉に従い、日本に帰国することなく以後40年間中央・南インドにおいての仏教遺跡の発掘に勤しみ、同時に不可触民の開放のため、カースト制度を根底としているヒンズー教から仏教に改宗せよと東奔西走しているのです。尚、師は2009年に44年ぶりに帰国し各地を訪問し講演を開き、日本の僧侶に対して立ち上がりなさい、行動を起こしなさいと実践の大切さを喚起なさっています。




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