駄家通信 16


H24.10.15
【瀬戸内海物流の一コマ】筆者蔵


買仕切
一筑前晒臘 〈又印 八丸
 正味七拾五斤入
 斤〆六百斤
弐歩引 壱匁九分〇
 代壱貫百四拾目
 内
弐拾弐匁八分弐歩引
正銀〆 壱貫百拾七匁弐歩
外ニ 三分弐厘 積中脊
合壱貫百拾七匁五分弐厘

… 「仕切」とは取引や帳簿のしめくくり、決算
「一丸の正味4.5kg」
… 一斤=160匁≒600グラム
… 75×8=600
… 〇は「替」? 
… 19×600=1140

… −22.82
… 1117.2
 +.32
… 1117.52

右之通買渡代銀請取
相済申候以上
出雲屋
 子七月十四日六郎右衛門
天満屋
 善兵衛殿


 これは芸州(広島県)厳島(宮島)にいた出雲屋が予州(愛媛県)西條領にいた天満屋善兵衛に対して、代銀の請取りが済んだというものである。
 「買渡」というのは、九州(筑前?)で買って来て(つまり仕入れたもの、ここでは筑前晒臘を)渡した(売り渡した)その代銀を受取ったという意味であろうか。
 「晒臘」は精製したもので、動物体また植物体からも取れる。
 天満屋も舩主であったが、ここは出雲屋が舩主で売りさばいているのであろうか。出雲屋は瀬戸内海で宮島を拠点として商売をしていたようだ。宮島を拠点とした九州と四国の物流の一コマが見られたわけである。宮島にはたしか出雲屋寄進の石灯篭が大鳥居に面して立っている。

 蛇足であるが「買仕切」というのは、出雲屋が買ってきたものの決算したということで、何故「売仕切」といわないのであろうか?天満屋が買ったのである。どうもこうした商いのやり取りは理解に苦しむ。もっと難しいのが金銀銅貨の計算である。

 随分と涼しくなった秋の夜長、こうした反古類を眺めては持て余し気味の寸巨体を息つかせているわけである。


 猶、丸印は「藝щ{島 出雲屋 仕切外不用」とある。



駄家通信 15 / 駄家通信 トップ / 駄家通信 17